ARCHITECTURE of FRANK LLOYD WRIGHT
in the United States of America

フランク・ロイド・ライト建築

神谷武夫
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 今から 36年前の 1987年に、2週間ばかり アメリカに フランク・ロイド・ライト ( 1867 -1959 ) の作品の撮影旅行に行ってきました。ライトの作品は アメリカ全土に散在していますので、2週間では とても 見たいもの全部を訪れることはできず、またラーキン・ビルなどのように、今は存在しないものもありますし、 ジョンスン・ワックスの研究棟は当時は閉鎖されていました。いつかまた タリアセン・イーストや ベス・ショロム・シナゴーグなども見に アメリカを旅行しようと思っていましたが、それも 実現しなかったので、1987年に撮影した写真のみをスキャンして、『フランク・ロイド・ライトの建築』というサイトを ここに作っておくことにしました。     ( 2023 /07/ 01 )


第1章  CHICAGO
      シカゴ周辺   (オウク・パーク、シカゴ)
ライト
第2章  NORTH AMERICA
      アメリカ北部  (落水荘、グッゲンハイム)
ライト
第3章  SOUTH AMERICA
      アメリカ南部  (フロリダ・サザン・カレッジ)
ライト
第4章  WEST AMERICA
      アメリカ西部  (アリゾナ、タリアセン W.)
ライト
第5章  CALIFORNIA
      カリフォルニア ( L.A. サンフランシスコ)
ライト
補 遺   BOOKS on WRIGHT
      フランクロイドライト に関する本
ライト


ユネスコ世界遺産への登録

 2016年に ユネスコ世界遺産のリスト (UNESCO World Heritage Sites List) に、ル・コルビュジエの一連の建築作品が登録された時に、このHPでは『インドのユネスコ世界遺産』のサイトに「ル・コルビュジエの建築作品」(チャンディーガル)という章を作り、そこに 次のように書いた。  

「ユネスコ世界遺産に、ひとりの建築家の作品群が一括されて一件として登録されるという、非常に珍しいケースがあらわれた。タイトルは 「ル・コルビュジエの建築作品、近代建築運動への顕著な貢献 ( The Architectural Work of Le Corbusier, an Outstanding Contribution to the Modern Movement ) 」というもので、7ヵ国の 17作品にわたる。 こういう登録のしかたが あり得るとなると、「ライトの建築作品」とか「ロダンの彫刻作品」あるいは「広重の浮世絵作品」というような一括登録申請も出てくるかもしれない。」

 その予想の通り、3年後の 2019年に、アゼルバイジャンのバクーで開催された 第 43回ユネスコ世界遺産委員会において、ライトの作品群が、「フランク・ロイド・ライトの 20世紀建築作品群 ( The 20th-Century Architecture of Frank Lloyd Wright ) 」として 一括登録された。 その「構成資産」の内訳は 次のとおりである。 ル・コルビュジエの場合は7ヵ国にまたがる 17作品だったが、ライトの場合は 日本などを含まず アメリカ国内だけとし、しかも膨大なライトの作品の ごく一部の8作品であった(建設の年代順に番号を付している)


   1. ユニティ・テンプル    1905 -09  オウク・パーク   (イリノイ州
   2. ロビー邸        1908 -10  シカゴ     (イリノイ州
   3. タリアセン・イースト   1911 -59  マディスンの近く (ウィスコンシン州
   4. バーンズドール邸    1918 -21  ロサンジェルス  (カリフォルニア州
   5. 落水荘(カウフマン邸) 1935 -39  ピッツバーグの近く(ペンシルヴェニア州
   6. ジェイコブズ邸     1936    マディスン    (ウィスコンシン州
   7. タリアセン・ウエスト   1938 -56  フィーニクスの近く(アリゾナ州
   8. グッゲンハイム美術館  1943 -59  ニューヨーク    (ニューヨーク州


 私は この内、タリアセン・イーストと ジェイコブズ邸を除いた6作品を 訪れた。 登録されたもの以外にも重要な作品が多数あり、「構成資産」に含まれるか どうかは、建物の所有者の 同意の有無の問題であったろう。個人の所有でなく 公的な機関が保持しているものは、同意が得やすかった、というより 積極的な協力が得られたことだろう。ル・コルビュジエ作品の登録に対する、ライト支持者たちの 対抗意識も あっただろうと思う。

フランク・ロイド・ライト

60歳頃のフランク・ロイド・ライト
(From "The Early Work by Frank Lloyd Wright", 1968, Bramhall )
ライトは 1867年の生まれなので、日本の慶応3年にあたり、
ちょうど 夏目漱石、そして 伊東忠太と 同年の生まれになる。

 私が建築家になろうと思った高校時代から 現在に至るまで、常にライトの作品を 本で見続けてきたのは、当初から 四角い豆腐のような「近代建築」が まったく面白くなく、逆に「前近代」のように言われていたライトの建築が、外観の造形から 内部空間の構成、さらには装飾と、いつも魅力的で 感銘を受け続けたからだが、とりわけ その 1987年の旅行で多くの実物にふれ、何度も「ライトは天才だ」と思わされたことが大きい。 旅行日誌には、何度も そう書いている。
 しかし 私は ライトの研究家というわけでは ないので、ここに ライト論を展開するわけではなく、多少の解説付きの、私が撮影した限りの、アメリカにおける「フランク・ロイド・ライトの作品・写真ギャラリー」を 展覧するわけである。 アメリカの東から西へと 地域的に5章に分け(日本は含まない)、末尾には「補遺」として、私の蔵書の中から 特に有用と思われる本を 十数冊紹介するが、一般向けのライトの評伝に関しては、次の2冊あたりがよい。 特に前者は、建築の機微が よく解っている著者によるもので、多少 辛辣な記述が たいへん面白く、また名訳である。 後者は、ライトと日本の関係を 詳しく調べて 記述し、また年譜や家系図も付けている。

ライトの評伝   ライトの評伝
●『未完の建築家 フランク・ロイド・ライト』(原著 2004)
     エイダ・ルイーズ・ハクスタブル著、三輪直美訳、2007、TOTO出版
●『フランク・ロイド・ライト、建築は自然への捧げ物』  .
    大久保美春著、ミネルヴァ日本評伝選、2008、ミネルヴァ書房

 さて 昔は、カラーフィルムは コダックが最高だと思われていたので、私も カラー・スライドには もっぱら「コダクローム」を使っていた。 ところが コダックの技術は どんどん衰えていったので、ライトを撮影したものも 多くが悪い発色になってしまい、あまり外部に出して使いたいものではなかったので、この HP にも あまり載せてこなかった(「世界建築ギャラリー」には『ユニティ・テンプル』を載せたが)。 一方、安かろう悪かろうと言われていた「富士フィルム」は どんどん技術をあげ(小西六の「さくらカラー」は無くなってしまったが)、後に出る フジの「ベルビア」は 最高の品質となるので、1990年代以降は、もっぱら ベルビアを使い続けることになる。 それでも「フォトショップ」による 画像修正技術の腕を ずいぶん上げたので、昔のコダクロームのフィルムであっても、それほど 不満足な写真ギャラリーには ならないと思う。


ライトの作品地図

アメリカの、私が訪れたライト作品地図(矢印は 掲載順路)



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ライトの落款

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