A CHIPMUNK NAMED "SASKIA"

シマリスよ、君の名は「 サスキア 」だ

神谷武夫

サスキア

新しい「齧(かじ)り木」を前にした シマリス

 昨年末に「シマリスへの 懐旧の情」を書きましたが、今年になっても シマリスへの「懐旧の情」が収まらず、ますます強くなって、ネットで リスの動画を見るだけでは とうてい満足できず、4月中旬になって、ついに、もう一度 シマリスを飼おう! と 決心しました。そして実際に シマリスを「お迎え」したのですが、昔 学生時代に飼っていた時と同じような、リスとの「共同生活」を望んだのに、なかなか そう簡単なわけではない ことの顛末(てんまつ)を書いて、これから リスを飼おうかと思っている人たちの 参考に供したいと思います。

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シマリスの 購入

 シマリスは、冬眠明けの2月か3月に交尾して、その1ヵ月後に 子供を3〜5匹 産み落します。それらが育って 赤ちゃん時代を終え、中国から日本に輸出されるのは、4月が一番多い。あっちに運ばれ、こっちに運ばれ、日本にやって来て 諸手続きが済むと、輸入業者が それらを 付き合いのあるペットショップに 配分して 国内配送をします。こうしたプロセスに、生まれてから1ヵ月くらい かかります。この間に 死んでしまう 幼シマリスも、少なくないらしい。
 4月になって 「もう一度 シマリスを飼おう! 」と 決心した私は、たまたま4月13日に ネットで検索したところ、東京郊外の あるペットショップに、シマリスが2匹入荷した(入荷というのは 味気ない言葉ですが)と 書かれていて、まあ リーズナブルな価格だと思われたので、さっそく 翌日の14日に2時間半かけて(割と名の知れたチェーン・ペットショップの)遠くの支店まで行ったところ、実は3匹入荷したのが、ネットに告知する直前に1匹が引き取られたので、2匹入荷と書いたところ、昨日 13日の夜に また1匹が買われてしまった! ので、残りは あと1匹だけですと 言われました。シマリスは人気があるので、すぐに売れてしまうのです。危ない所でしたが、ついに シマリスを1匹 確保できました(行くのが1日遅れていたら、もうダメだったかも)。

サスキア

ショップで、おがくずの間から出てきた シマリス
体は小さいが、シッポは ふっくらしている

 ショップの 大きな透明プラスチック・ケースの中で、「おがくず」に潜(もぐ)って隠れているリスを、周りの おがくずを どかすと、「ああ、本当のリスだ!」と、何十年ぶりかの、(動画とも、実物大フィギュアとも まるで違う)本物のシマリスを まじかに見て、感動しました。ほんの少しの間 手に持つと(すぐに逃げて おがくずに潜ってしまいますが)何とまあ 柔らかく、やせて 軽いことでしょう。成人シマリスは 体重が 100グラムぐらいなのですが、このリスは まだ生後1ヵ月なので、45 グラムしかない ということでした。45グラムですよ! ケースに入った音楽 CD1枚が 約100グラムですから、その半分以下の重さです。現在の「頭胴長」(シッポを含めない 体の長さ)は、8センチくらいです。これから 2ヵ月くらい かかって 13 〜14センチに成長していくのですから、まだ 小さな子リスです。人間で言ったら、「幼稚園児」ぐらいの段階です。本当に 小さい。
 でも 赤ちゃんとは違い、五体満足で、手で持った時には やせて、やや骨ばっている感じだったのに、外見は、成人シマリスと あまり変わりません。焦げ茶色の5本の縞と、4本の手足、それに 大きな眼を もっています。おそらく 全身に まだ十分には 肉が付いていないのでしょう。中国からの書類には「3月上旬」の生まれだ と書かれているそうですが、食べ物が、もう ミルクではなく、普通に固形食(離乳食)を食べるし、発育途上ではあっても、もう十分に「一丁前」の姿をしているので、実際には2月中旬か下旬の生まれ だったのかもしれません。体重も、もう 50 グラムになっているかも。寿命は、家庭で飼えば(天敵がいないので)6 〜 10年です。

へやんぽ

家に来た翌日、ケージから脱走した 子リス(頭胴長 8cm)

 ネットで調べると、シマリスの 日本への年間輸入量は、約3万匹だそうです。ほとんどは 中国からですが、そんなに多いとは 意外でした(1994年に韓国からの輸出が禁じられる前は、その数倍だったそうです)。コロナ禍もあり、現在の実数はその半分か1/3くらいになっている との説もあります。いずれにせよ、 その内、寿命を全うできるシマリスは、半分くらいではないか という気がします。前にも書いたように、シマリスは きわめて小さい上に、非常に すばしこいので、逃亡しやすいのです。シマリスというのは「野性味」を多く残した動物ですから、自然に帰りたいという情動を 常に抱いているようです。そしてまた、シマリスが「噛みリス」になったりすると、飼育放棄されて、野に放たれてしまうこともあります。そうしたリスたちは、鳥や猫やカラスに襲われたり、車に轢かれたり、食べ物不足や 病気になったりして、早く死んでしまうのです。

 さて、購入契約の段になって、問題が生じました。近年「動物愛護法」の適用が厳しくなってきたとかで、私が最後までこのシマリスの面倒を見きれないかもしれない ということを、ショップが懸念しました。動物の幸福を第一に考えるという、ショップの方針には 賛同できますが、私が購入できない かもしれなく なりました。私が老衰するまでに、このリスを「私のあとで面倒を見てくれる人」を 探すことを「誓約する」ということで、何とか OK になりました。

 ショップで、昔のような 小型のケージを買おうと思っていたのですが、大きなケージしか無かったので、それは 翌日 ネットで探すことにし、店にあった 透明プラスチックの 古いキズ物の小型ケージ(プラ・ケース)を もらって、そこに入れて 買い物バッグで持ち帰りました。大きなケージは 持ち帰れませんし。
 シマリスが一番好きなことは、走り回ることと、ピョンピョン飛び跳ねることだ、と 私は思っているので、どちらも できない ケージの中に 一日中 入れておくのは 可哀相なので、リスが うちの新しい環境に馴れたら、昔のように、部屋に「放し飼い」にするつもりでしたが、それでも 一時的に入れる時のための 小型のケージは 欲しかったのです(しかし ネットでも、昔のような小型のものは 見つかりませんでしたが)。

 このシマリスが オスかメスかは、まだ分からないということでした。私は どちらでも こだわりはありません。性器が 見分けが付くほどに成長するには 数カ月かかるらしいですが、ショップの人が見るところ、「おそらく」メスではないだろうか、という話でした。

 昔 飼っていたリスには 名前を付けなかったので、今度は 良い名を付けてあげようと 思いました。たぶん 女の子のようなので、初め、日本の名前にしようと思いましたが、「みどり」とか「さゆり」といった名にすると、どうしても現実の日本女性が思い浮かんできてしまうし、「お徳」とか「お夏」では古めかしすぎるので、外国人のようなカタカナ名前にしようと決めました。でも「エリザベス」とか「シャルロッテ」のような長い名前は呼びにくいので、4文字以内に しようと、あれこれ考えた末に、「サスキア」にしました。
 さて、これは どこから採った名でしょうか? ・・・ そう、画家のレンブラントの 最愛の妻で、29歳の若さで 亡くなってしまった女性の名です。レンブラントは サスキアをモデルにして 多くの絵を描きましたが、一番有名なのは、『フローラ(春の女神)に扮した サスキア』です。可愛いシマリスに 似ていると思いませんか?

フローラ

『 フローラに扮した サスキア 』( 「レンブラント全画集」 より
レンブラント、1634年、エルミタージュ美術館蔵


 シマリスは 漢字で書くと「縞栗鼠」ですから、栗などの木の実が好きな、縞のあるネズミ という意味です(昔は 栗鼠 は「リス」ではなく 「リッス」あるいは「リッソ」と 読まれたらしい)。英語では チプマンク (Chipmunk) と言います。アメリカ先住民の言語の アルゴンキン語で チプマンクと呼ばれていたのが 語源だそうです。英単語のスクワーレル (Squirrel) は リスの一般名ですが、チプマンクと区別して、「シマリス以外の リス一般」という意味でも 使われます。フランス語の エキュレイユ (Écureil) に相当します。シマリスはフランス語では タミア (Tamia) と言います。ラテン語でシマリスを意味した タミアス (Tamias)、あるいは「ナツメヤシ」を意味する ヘブライ語の ターマー (Tamar) が語源だそうです。
 日本原産で 北海道にのみ 居る「エゾシマリス」、かつて朝鮮から、今は中国から輸入されるシマリス、そしてロシアのシマリスも、「シベリア・シマリス」という同じ分類に属し、どれも 外見上は 区別がつきません。ということは、我々の飼いリスが 逃亡しても、日本の生態系に与える影響は、それほど大きくは ないのではないか、という気もします(こんなことを言うと、「エゾシマリス」を守る人たちから 怒られそうですが。ただ、エゾシマリスと中国シマリスは何が違うのか、ということを はっきり書いた本には、お目にかかったことがありません)。
 この、アジアにのみ分布する「シベリア・シマリス」は、英語では Siberian Chipmunk(サイベリアン・チプマンク)、フランス語では Tamia de Sibérie(タミア・ド・シベリ) と言い、その学名は「エウタミアス (Eutamias) 」です。それ以外のシマリスは 23種もあるそうですが、それらすべてが 北アメリカに分布する ということです。今回 私が「お迎え」したのは、もちろん 中国産の「エウタミアス 」です。
 それでは、南インドの、白い3本縞の "ドラヴィダ様式" のシマリス(インド シマヤシリス)も、「シベリア・シマリス」に属するのでしょうか? あるいは、アジアにいても、別の系統のシマリスなのでしょうか?

シマリスの反逆

 サスキアと名付けた 私のシマリスは、ショップで「ビビリ 性格ですよ」と 言われたとおり、翌朝になっても おがくずの中に潜(もぐ)ったまま、一向に出てきません。プラスチック・ケージのフタを開けて、おがくずをどけて 姿を出させたり、陶器の「えさ置き場」を 中に置いたりしました。しかし このプラスチック・ケージというものに 私は慣れていなかったのと、リスが おがくずの中に潜ったままなので 油断して、昼に出かける時に、うっかり フタを閉め忘れてしまったのです。帰宅してケージを見ると、リスが いません。誰もいないのを見計らって、プラスチックをよじ登って、部屋に出てしまったのです。ビビリだったのは 見せかけだけで、実は 大胆不敵なシマリスだったのです。プラ・ケースには、戻ってきません。部屋じゅうを走り回って 神出鬼没、私が ちょっと近づくと 逃げて、どこかに隠れてしまいます。1ヵ月ぐらいで 新しい環境に馴れたら、部屋に「放し飼い」にしよう と思っていたのに、買ってきた翌日に、早くも 放し飼いになって しまいました。

サスキア
翌朝、窓際で 日向ぼっこする サスキア

 時々、台所でガシャーンと音がするので 行ってみると、「調味料入れ」などを 引っくり返したり、棚から落としたりしながら 跳びまわっています。カリカリと音が続く時に 行ってみると、「砂糖入れ」の底の ゴムの台を齧(かじ)って ボロボロにしています。リスを購入したショップで、「殻付きの クルミ」を買おうと思っていたのに、置いてありませんでした。多分、このリスは一度も クルミを齧ったことが ないのでしょう。私が想像するに、歯が命と言ってもよい リスは、一生 伸び続ける 前歯(切歯)を削って丈夫にするために、毎日 クルミなどの硬いものを 齧る必要があり、それを していないと、歯が かゆく なるのではないでしょうか。それで 齧るものを求めて、柔らかいゴムまで(木の巣箱なども)齧ってしまうのでしょう。そこで アマゾンに「殻付きクルミ」を注文しましたが、届くのは5日も先になります。

 一計を案じて、床に置いた プラスチック・ケージの蓋を5センチくらい ずらして開けておいたら、シマリスが エサを求めて ここに跳びこんだので、その瞬間をとらえて サッと蓋を閉めて、リスを捕獲することができました。これで一安心。ところが その翌日、リスのために 水飲み用の皿をいれようとした瞬間に、そのすき間から リスが飛び出てしまいました。狙っていたのかもしれません。再び 放し飼いとなってしまい、彼女は部屋中を走り回って 神出鬼没です。
 夕方になって、ダイニングで夕飯を食べていると、いつもは ちょっと 近づいただけで逃げる このシマリスが、私の足元にやってきて、靴下の上から 足の匂いをかいでいます。そのうちに ズボンを登りはじめ、 膝の上にきて、腿の上で 私の顔を見たりしています。これは! このリスは 意外と人懐こいのかもしれない と思われ、これなら 手の平に乗るかもしれないと、右手を開いて そぉっとリスの前に出しました。歩いて乗ってくるかと思いきや、突然 リスは 私の人差し指にガブリと噛みついてきたのです。「痛ぁー」と叫んで 手を振って リスを放り出しました。こういう時にリスは 家具の角などにぶつかって怪我をすることが あるらしいですが、このリスは ひらりと床に降り立って、どこかに走っていきました。シマリスは哺乳類ですが、人間とは違って齧歯(げっし)目に属するので、前歯で噛む力が 非常に強い。
 それからしばらくすると、また このリスが足元にやってきて、ズボンを登って 私の右足の腿に乗ります。今度はだいじょうぶかと、右手を出すと、またガブリです。「痛い!」とリスを振り払うと、また床に降り立ち、どこかに行ってしまいます。ひどい目にあってしまった と思っていると、さらにまた このリスが足元に来て、膝に乗ってきます。もう懲りたと、手を出さずに垂らしていると、その手に飛びかかってきて、3度目のガブリです。
 何ということだ! と憤激していると、驚いたことには、さらにまた リスは足元に寄ってきて、膝に乗ってきます。私は 身の危険を感じ、両手を激しく振って リスを追い払って、どうも とんでもないリスを 買ってしまったものだと、落ち込みました。幸い 出血は しませんでしたが、こんな 狂暴なリスだとは 思いもしませんでしたから、これでは、部屋に放し飼いにすることなど できません。いつ 飛びかかられて 噛みつかれるか、わかりませんから。昔飼っていたリスは 実に従順で、可愛かったのと比べると、これは「不良品」のシマリスだ! という思いに囚われました。

 昔 飼っていたリスに 噛まれたのは、1回だけです。リスが小型のケージの中にいた時に、ケージの中に手を入れて 何かを調整していた時に噛まれたのです。でも それ以外は、あのリスは、希に 描きかけの図面に オシッコをして 黄色いシミを付けてしまったこと以外、「悪さ」をしたことは ありません。
 シマリスは 本来、冬は冬眠しますが、暖かい家庭で飼われているシマリスは 冬眠しません。その代わり、その間は気性が荒くなるシマリスが多いのです。それまで おとなしかった飼いリスが、ある日突然 狂暴になり、飼い主や家族に噛みつくように なるのです、しかし 春になると、ある日 突然それが止み、元通りの柔順なシマリスに戻るのです。これを、シマリスの「タイガー期」と呼んだりします。
 昔 私がシマリスを飼ったのは、初秋から3ヵ月でしたから、「タイガー期」になる可能性は 十分にあったのですが、あのリスは温和だったので、タイガー期は 経験しませんでした。あのリスには 良い思い出ばかりが残っています。それに引き換え、今度のリスは「極悪リス」ではないか、という思いに 打ちのめされました。今は秋・冬ではなく4月です。しかも 生まれてから1ヵ月ばかりのリスが「タイガー期」になるはずは ないのですが、世の中には ごく希に、1年中「タイガー期」のシマリスも いるらしいですから、このリスはそれかな、という思いも 湧いてきます。一体、これから どうしたものか、途方に暮れます。

 それでも もう一度 昨日の手を使って、プラ・ケースの中に サスキアを捕獲し、もう 絶対に出さないぞ と思いましたが、それでは エサと飲み水を どうやって入れるか、悩みます。そしてプラ・ケースの外から眺めていると、シマリスは やはり可愛い。でも、それまで シマリスは 100 % 可愛いという感情でしたが、こういうことがあってからは、80 % に減退してしまいました。

サスキア  サスキア

プラ・ケースから脱出しようと、陶製の「えさ置き場」に乗って
背伸びして 天井を噛み破ろうと、毎日 無益な努力を続ける サスキア。

通気口を齧ろうとしても 齧れないので、舌で 天井を ペロペロ舐める形になる。
それを真上から見ていると、シマリスの 普段 隠れている「舌」というのは、
伸ばすと ずいぶん 長くて、赤くて、巾も広いのだ と分かった。

サスキア
サスキアの「舌」(青い部分は プラ・ケースの突起)


サスキアの馴致(じゅんち)

 将来、サスキアは 放し飼いにはできず、可哀そうだけど 金属ケージに入れっぱなしになるかな、と思いましたが、そうだとしても、できる範囲で 馴らしていくほか ありません。まず、このリスは 生まれてからずっと不規則な生活に振り回されてきたので、体内時計が まだ確立されていず、プラ・ケースの中でも、放し飼いになっている時も、夜おそくまで起きています。その生活慣習を正して、きちんと夜明けに起き、日没時に寝るように しつけようと、夕方7時にプラ・ケースに布をかけて 真っ暗にして、眠るほかないように しました。朝は 私が5時頃に起きるので、寝室から居間に来て、カーテンを開けて 照明も点け、「朝だよ」と言って 明るくします。リスは ビビリを装って、おがくずの中に潜って「寝たふり」をしています。この間は 蓋をはずしても 大丈夫だと分かったので、エサ置き場を洗って 新しいエサを入れ、水飲みグラス(タンブラー・ オンザロック)を替えます。リスはじきに(数日後から)、自分から 夕方6時過ぎに おがくずの中に潜って 眠るようになりました。

 そうしている内に、噛みつかれた時の 私の「失敗」に 気が付きました、あの時、私が 手の平の上に エサを置いて差し出せば、サスキアは 私の手の平に乗ってきて エサを食べたのかもしれない、エサ無しで 手の平を出したので、リスは 私の「手」を食べ物だと思いこんで、ガブリと噛んだのではないか、と。 この説が正しければ 一安心ですが、しかし いったん私の手に3回も噛みついたので、それがサスキアの感覚と記憶に残って 習慣化してしまうかもしれません。まあ、その辺は すぐには 結論が出ないでしょう。
 アマゾンに注文した リス・ケージは、もう来ているのですが、まだ1週間くらいは 小さいプラ・ケースの中に 入れておくことにしました。その不自由でいる間に、おいしいエサを与えたりしていれば、普通のシマリスになるかもしれない、と期待して。そして、何度も(4回も)私の膝に乗ってきたのは、むしろ 親近感の顕われだったのかもしれない と 解釈して。

サスキア
エサ置き場の横で しおらしそうに エサを食べる サスキア

 アマゾンで買ったクルミは、岩手県の「和ぐるみ」(オニグルミ)だったので、届いて見ると、殻(から)が 非常に厚くて硬いので、シマリスが 齧り割るのは無理でしょう。普段使っている金槌で叩いても、ビクともしません。昔の製図用の、重さ1キロの 鉄の「文鎮(ぶんちん)」の上に乗せ、もう一つで ガンと 思い切り 叩いたら、細かく割れました。そこで、殻だけの破片を取り除き、残りをエサ置き場に入れました。すると サスキアは エサ置き場に来て、2つか3つばかり クルミのかけらを食べましたが、すぐに おがくずに潜ってしまって 出てきません。クルミが好きでないのか、食あたり でも起こしたのかと 見ていると、5分くらい経ってから やっと出てきたと思うと、エサ置き場で 猛然と クルミを食べ始めました。
 私が想像するに、サスキアは 生まれて初めてクルミを食べて、その あまりの おいしさにビックリして (?)、おがくずに潜って、これはどうしたものかと 考え、5分後に「これは食べるべきだ」と結論を出して、猛烈な勢いで食べ始めたのでしょう。これからは、クルミを ある程度 割って 十分にヒビをいれてから、まるごと与えて 齧らせようと思います。それによって、歯の かゆみも あまり出なくなることを期待して。

 (これを書いた2日後、湿った おがくずを出そうと、指を入れたところ、驚いたことに、前に入れておいた もう一つのクルミの、割られた「殻」が 出てきました。 何と この子リスは、いつのまにか、あの硬い「和グルミ」の殻を割って、中身を全部 食べていたのです! シマリスの、何という 強靭な 前歯! これなら、割ってあげる必要は ないかな?) しかし 殻の半分しか 出てこないところを見ると、始めから 真っ二つに割ったのではなく、殻の半分を 少しずつ齧って捨てて 中身を食べ、殻の半分は そのまま残したのだと 思われます。その作業に何日も かかって 懲りたのか、新しいクルミをあげても、無視! 齧ろうとはしません。やはり和グルミは、ある程度割ってあげないとダメかな?)

くるみ   くるみ

(左)岩手の「和グルミ」の 説明パンフレットの 写真と説明
(右)和グルミの外観と、サスキアによって割られた、殻の半分

 ただ、この 和ぐるみは 小さめである上に 殻が厚いので、中身の量は 少ない。でも 私の主目的は リスに 殻を齧らせることなので、あまり気にしません (ただ、齧ってくれないことには ・・・ )。 1個当たりの値段は、送料込みで 約 10円と 安い。





 
シマリス用のケージ

ケージ

Amazonで買った リス・ケージ 三晃 8,700円
底面 38センチ × 43センチ、高さ 61センチ。
一番下は、引出し状に なっている。
ケージの縦棒のピッチは、リスが 通れない 11ミリくらい。
そこに、巣箱や ハンモック、コーナー・ステージ、給水ボトル、
エサ置き場、トイレなど、 取り付けた小物 計 8,200円


 これから シマリスを飼おうかな と思っている人にとって、気になるのは、費用でしょう。そこで、私の場合を公開して、参考に供します。ケージと小物については、上の通りです。シマリス自体は、2万円でした。 これに ペレットや クルミ、ヒマワリの種など、食料品の費用 3,000円くらいを加えて、総額4万円というのが、シマリスを飼うための「初期費用」です。ごく小さい動物であるだけに、ペットショップの 犬や 猫に比べれば ずっと安い、と言えます。




演技派のリス

 25日の朝、サスキアは エサを食べたあと、半分 おがくずを被って、相変わらず「寝たふり」をしています。プラ・ケースの蓋には 換気用の小穴が 両端に たくさん並んでいるのですが、これでは不十分だな と、もっと 換気をよくするよう、蓋を少しずらして、両端に1センチくらいずつの アキを作って、まん中に 重さ1キロの 製図用文鎮を 載せておきました。しばらくして、私が机に向かっていると、カタンと音がしたので 見ると、何と、リスが 大テーブルの上を歩いています。
 サスキアは、タンブラー・グラスのフチに乗って 背伸びをし、1センチのすき間に鼻の先を差し込み、1キロの重しのある蓋を 3センチぐらい動かして、外に跳び出たのです(わずか 50グラムの 子リスが!)。 でも テーブルの上をのみ 動いているので、プラ・ケースの蓋を 15センチくらい開けておいたら、リスは ピョンと 跳びこんで、ケースに戻りました。前のように、床に跳び下りて、走って どこかに隠れる ということをしないのは、少し 私に 懐いてきたのかもしれない。エサ置き場に 少しの おやつをいれると、寝たふりをしていたリスは すぐに起きて 食べに来ます。だんだん 私のことを、食べ物をくれる人と 認識しつつあるの かもしれません。今日は 朝食時に パイナップルの 一口をあげると、おいしそうに食べていました。

シマリスの 引越し

 サスキアを4月14日に「お迎え」してから ちょうど半月後、4月28日の朝、プラ・ケースから「家具付きケージ」へと 引っ越しさせました。新居には すべてが備わっているので、体ひとつの 引越しです。「前科者」ですから、ここで ずっと おとなしくしているかどうかは 分かりませんが、逃亡者にならないことを祈ります。 リスは 狭いプラ・ケースから 広い新天地に移って、コーナー・ステージから巣箱に飛び移ったり、一番上の ハンモックに跳び上ったりして ゴキゲンです。しかし 丸い穴(入口)から巣箱に入ると、なかなか出てきません。暗くて、深くて、狭いスペースが、よほど居心地が よいのでしょう。

 取り付け小物の構成は、1階が メッシュの 床(その下は ゴミ・糞の掃除用引き出し)、2階に 木製の 広い コーナー・ステージ(この下に 透明プラスチックの 屋根付き トイレ・ハウスを置きます)、3階が コーナー型 木製の 巣箱、3.5階が ハンモックで、サスキアは どこにも ピョン ピョン 飛び移ります。1階に 軍手のような 毛糸の手袋を置いて、部分的な柔らかい床にしていると、リスは たまに 手袋の中に潜りこみます。
 サスキアが この手袋を咥(くわ)えて 上の方へ持っていこうとしたので、ははあ、寝床作りだなと思い、手袋を巣箱に入れるのは無理なので、ネットの記事に倣って、キッチン・ペーパーを 1.5〜2センチの巾に割いて 中に入れてあげると、サスキアはすぐに飛びついて、口と両手で 器用にたたみ、それを咥えて 巣箱に駆け上がります。これを 20回ぐらい続けたので、ずいぶん フカフカの寝床になったことでしょう。巣箱の中がどんなふうになっているのかは、見えません。たまに サスキアが 丸窓(入口)に上半身をあらわすと、下方を睥睨(へいげい)し、すぐに 奥に隠れてしまいます。プラ・ケースの中で「寝たふり」ばかりしていたリスが、今や 王侯のような 立ち居 振る舞いです。

 ケージの扉を 時々 開け閉め していれば、リスは いずれ そのスキをついて 跳び出てしまうでしょうが、エサは ケージの中にしか無いのですから、扉を開けておけば 戻ってくるでしょう。問題は 家の外に 逃亡することで、これが最大の 厳重警戒事項です。

サスキア
ケージ内の最上階の ハンモックで くつろぐ サスキア

                                   ( 2025 /05/ 01 )



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TAKEO KAMIYA
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