『 何が私を かうさせたか 』 |
金子ふみ子 著『何が私を かうさせたか』増補決定版 ジャケット
1972年 (昭和47), 19× 13× 3cm, 592pp, 2,400円, 黒色戦線社
昭和6年の春秋社版の表紙デザインを用いている
(手錠をかけられ、編み笠をかぶせられた囚人の絵)
『何が私をかうさせたか』は、金子文子が 立松懐清(たてまつ かねきよ)予審判事の要請で、獄中で書いた半生記です。文子が この手記を宅下げして 同志の栗原一男に出版を依頼し、1931年(昭和6) の7月に 春秋社から出版されました。「宅下げ」といっても、栗原一男が 実際に手記を手にしたのは、1926年 (大正15) に 文子が死んでから、だいぶ経ってから らしく、しかも 手記は あちこち 切り取られて ズタズタだったらしい。それを 栗原一男と加藤一夫の二人で 補筆復元し、題名も 彼らが付けました。 鶴見俊輔が絶賛した この本『何が私を かうさせたか』は、のちに何度も再出版され、今は 岩波文庫で読まれていますが、それらが「手記」本文のみであるのに対して、今から半世紀前の古書である 黒色戦線社の「増補決定版」(1972、大島英三郎 編) には、春秋社版の「復刻」のほかに、埴谷雄高の「跋」をはじめとして、金子文子の「歌集」や 大審院(最高裁)の「判決文」、布施辰治弁護士の「回想」、文子の写真、新聞や雑誌の縮刷など、詳しい資料が 180ペ−ジにわたって 増補されています。
金子文子著『何が私を かうさせたか』 函の背と表(扉)
(左)金子文子著『何が私をこうさせたか』黒色戦線社版の
(左)金子文子 著、『何が私をこうさせたか』、2017年、岩波文庫
( 2023 /01/ 01 ) |