杉本鉞子の『 武士の娘 』 A Daughter of the Samurai

ダブルデイ・ドーラン社、1934年版
石井滴水(いしい てきすい)による挿絵9点


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英文『武士の娘』1934年版 布製本の表紙
本の大きさ:21.5cm × 14.5cm × 3.5cm、314ページ


英文『武士の娘』1934年版 扉
扉の中段には、表紙にもジャケットにもない「副題」が書いてある:

How a daughter of feudal Japan,
living hundreds of years in one generation,
became a modern American


 扉の次のページには、この本を、鉞子の二人の母(実母である日本の 稲垣 金と、アメリカのシンシナティでの 住居と生活で 大変に世話になった セーラ・ウィルスン(フローレンスの母))に捧げるという「献辞」が 書かれていて、さらに次のページ(上の写真)には、ナンシー・ヴァージニア・オーステン への「謝辞」が 書かれている。 彼女の助けと励まし 無しには、『武士の娘』は決して 完成することがなかったろう、と。
 このナンシー・ヴァージニア・オーステンという 架空の名前こそが、鉞子をどこまでも助けた 生涯の友人、フローレンス・ミルズ・ウィルスン (Florence Mills Wilson 1856-1932) のことだと思われる。 鉞子は フローレンスを『武士の娘』の共著者とすることを望んだが、昔の日本人よりも さらに謙譲なフローレンスは、決して自分の名前を出すことを 許さなかったという。 『武士の娘』の本文にさえ、彼女の名は出てこない。 そこで鉞子は、NANCY VIRGINIA AUSTEN という 架空の名前を作って、謝辞を捧げたのである。


英文『武士の娘』1934年版 第1章「越路の冬」の挿絵
(訳書には、挿絵は収録されていない)


英文『武士の娘』1934年版 第3章「寒稽古」の挿絵


英文『武士の娘』1934年版 第4章「旧と新」の挿絵


英文『武士の娘』1934年版 第6章「お正月」の挿絵
この挿絵だけが 本文用紙に単色刷りで、他の8点は コート紙に2色刷り


英文 『武士の娘』1934年版 第16章「渡米」の挿絵


英文 『武士の娘』1934年版 第22章「異郷の花」の挿絵


英文『武士の娘』1934年版 第23章「千代」の挿絵


英文『武士の娘』1934年版 第24章「再び日本へ」の挿絵


英文『武士の娘』1934年版 第27章 「お祖母さま」の挿絵
石井滴水にとって、米人の絵は描きにくいとみえて、
ほとんどの挿絵は日本の場面となってしまった。
米人の読者にとっては、その方が ありがたかったかもしれない。


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