- 昭和 戦中・戦後の 少額貨幣 | 神谷武夫 | 

SOME BANK NOTES & COINS in SHOWA
昭和 戦中戦後 少額貨幣

神谷武夫

10銭

大日本帝国政庁紙幣、10銭紙幣(上部1/4欠損)
これだけ「大正 少額紙幣」、大正9年 (1920) 発行


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父の遺した旧紙幣

 前回の「犬の思い出」を書いている間、昔のことを あれこれ思い出していた時、父が生前に、名刺用の青いプラスチックの箱をくれたのを思い出しました。その中には 昭和の 戦中・戦後 の 紙幣と硬貨が、わずかな量ですが、たたんで入っていました。特に コレクションをしたというわけではなく、折々に 余った小銭を、なぜか 取っておく気になったらしく、今から見れば珍しい アンティークの「近代日本の お金」です。そんなものを、私なら 多少興味をもってくれるだろう と思って、くれたのでしょう。 机の中を さがしたら 出てきましたので、あまりに少なすぎる分量ですが、物珍しく思う方もいるでしょうから、今回は それらをスキャンして、 ここに 載せておくことに しました。
 今年は 「高額紙幣」(一万円、五千円、千円)が 新しいデザイン(渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の肖像)に変わるようですが、ここに載せるのは、すべて1円以下の 「少額紙幣」と硬貨です(私の父が 持っていたもの ですからね)。各紙幣の「おもて面」は、クリックすると2倍に拡大されます。
 今の若い人は「銭(せん)」など知らないかもしれませんが、1円=100銭 です。もちろん 私も「銭」を 使ったことは ありません。 江戸時代の「両(りょう)」と「文(もん)」が明治時代の「円」と「銭」になり(アメリカの 1ドル=100セント に ならったのでしょうか)、昭和時代の戦後に 激しいインフレのもと、使われなくなった「銭」は 昭和28年 (1953) に 廃止されました。    ( 2024 /05/ 01 )





壱円札ー1

壱円

日本銀行 兌換銀券、壱円紙幣、原寸でスキャン、87×148mm
肖像は「武内大臣」(武内宿禰 たけのうちのすくね
最初に発行されたのは 大正5年 (1916)
この紙幣の年度は不記載、組番号 445、通し番号 043613


壱円

壱円紙幣の裏面、左の円は1円硬貨の写真、
1円は 「いちえん」と発音される にもかかわらず、ONE YEN と表記された。
現在の貨幣もそうなので、外国人は その通りに「イェン」と発音する人が多い。
19世紀の 日本についての書物では、「江戸」も YEDO と書かれることが多かった。
「日本銀行」は NIPPON GINKO と表記され、現在も「にほん ぎんこう」ではなく、
「にっぽん ぎんこう」の読みが 正式とされている。






壱円札ー2

壱円

日本銀行券、壱円紙幣、原寸でスキャン、71×121mm
肖像は、何度も紙幣に使われた 武内宿禰(たけのうちのすくね)
戦中の 昭和 18年 (1943) 発行、組番号 2、通し番号 537165


壱円

壱円紙幣の裏面、絵は どこの神社か不明




五拾銭札ー1

50銭

大日本帝国政府紙幣、50銭紙幣、原寸でスキャン、63×102mm
戦前の 昭和 13年(1938)発行、紀元 2598年
絵は「富士山」と「桜花」(一次大戦前の、まだ平和だった時代)


50銭
50銭紙幣の裏面
図案は「幾何学模様」




五拾銭札ー2

50銭

日本政府紙幣、50銭紙幣、原寸でスキャン、62×108mm
戦後の 昭和 23年 (1948) 発行、組番号 ナシ、通し番号 212815
肖像は 板垣退助(裏面とも、戦後の「民主的な議会主義」を象徴させた)


50銭
50銭紙幣の裏面
絵は「国会議事堂」





拾銭札ー1

10銭

日本銀行券、10銭紙幣、原寸でスキャン、51×103mm
戦中の 昭和 19年 (1944) 発行、組番号 11、通し番号 なし
絵は「八紘一宇塔」(「大東亜戦争」を推進するデザイン)


10銭
10銭紙幣の裏面
図案は「扇面波模様」と「幾何学的桜花」





拾銭札ー2

10銭

日本銀行券、10銭紙幣、原寸でスキャン、51×102mm
戦後の 昭和 22年 (1947) 発行、組番号 なし、通し番号 12713
絵は「鳩」(戦後の「平和主義」を 象徴させたのだろう)


10銭

10銭紙幣の裏面
絵は「国会議事堂」
(父が 最も多く使った紙幣であったろう)





五銭札

5銭
日本銀行券、5銭紙幣、原寸でスキャン、47×92mm
戦中の 昭和 19年 (1944) 発行、組番号2、通し番号 なし
絵は、楠木正成の銅像(戦中の「日本精神」発揚のデザイン)
戦後の 5銭札は「梅の花」の図案になるが、父は残していない


5銭
5銭紙幣の裏面
このお札が 200枚で 10円です。

* *  * *


「1銭紙幣」は、発行されませんでした( コイン が あります)。






父の遺した旧硬貨(コイン)

硬貨は わずかしかなく、スキャンも むずかしいので、
だいぶ修正して 見やすくしました




小型 五十銭 黄銅貨

50銭
50銭

50銭黄銅貨、直径 18mm、4倍の大きさにスキャン
戦後の昭和 23年 (1948) 発行(最初は 昭和 22年)
絵は「桜花」




十銭 アルミ貨ー1

10銭

10銭

10銭アルミ貨、直径 22mm、4倍の大きさにスキャン
戦中の 昭和 17年 (1942) 発行(最初は 昭和 15年)
絵は「菊花」と「桜花」




十銭 アルミ貨ー2

10銭

10銭

10銭 アルミ貨、直径 22mm、4倍の大きさにスキャン
戦後の 昭和 21年発行(1946、私の生まれた年)
絵は「稲穂」と「桜花」 (最初は 昭和 20年発行)
戦後の 昭和 20年 (1945) から、額面を 洋数字で大きく入れるようになった。




五銭アルミ貨

5銭

5銭

5銭 アルミ貨、直径 19mm、4倍の大きさにスキャン
戦中の 昭和 17年 (1942) 発行(最初は 昭和 15年)
絵は「菊花」と「鳩」




一銭 黄銅貨

1銭

1銭

カラス1銭黄銅貨、直径 17mm、4倍の大きさにスキャン
戦中の 昭和 15年 (1940) 発行(最初は 昭和 13年)
絵は「桐」と「カラス」




一銭 アルミ貨

1銭

1銭

富士1銭アルミ貨、直径 16mm、4倍の大きさにスキャン
戦中の 昭和 16年 (1941) 発行(最初)
絵は「富士山」と「一」




さらに この下に、明治時代には「半銭 銅貨」と「1厘 銅貨」、
大正時代には「5厘 青銅貨」があったようですが、父は残していません。
当然、もう 使われていなかったのでしょう。
1銭(せん)=10厘(りん) です
通貨単位の「銭」も「厘」も、昭和 28年 (1953) に 廃止されました。

このページを読む方は、現在の通貨を 全て1枚ずつ、きれいなのを保存しておいて、
将来、お孫さんか ひ孫さんに「形見」として 残すと 良いかもしれません。
その孫子(まごこ)の時代には、現金の貨幣など 無くなってしまうでしょうから。


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