アルベール・サマンの『王女の庭園にて』1920年版の革装本 。19×13.5cm。
多少ヤケているが、100年前の革製本にしては 非常に保存がよい。
焦げ茶色のモロッコ革によるハーフ・レザー。平はマーブル紙。
天金、背には バンドが4本。金の箔押しも 全く色褪せていない。

中身に比べて 表紙の色が濃すぎると感じるでしょうが、これが 革製本の宿命であって、
革を明るい色に染めて 百年も維持するというのは、至難のことなのです。
それにつけても思うのは、「古書の愉しみ」第18回で紹介した『堀辰雄全集』の、
革のような 白い背布装が、実によくできていたことです。
この『王女の庭園にて』を 背丈だけ小さくして、あれと同じ装幀、造本にしたいくらいです。


アルベール・サマンの『王女の庭園にて』 マーブル紙の見返し。


      

アルベール・サマンの『王女の庭園にて』仮綴じ本のときの表紙。19×13.5cm。
革製本の中に、紙を足して綴じ込んである。


    

アルベール・サマンの『王女の庭園にて』前扉と、印刷部数の記述
最初の 30部 (No.1-30) には4段階の図版、つまり本文と 付録のカラー2段階 各一式、
及び 黒の線画一式を付ける。さらに、ジラルドンの原画を一点づつ付ける。
次の 70部 (No.31-100) は3段階の図版、つまり本文に 付録のカラー一式、
及び 黒の線画一式を付ける。
次の 100部 (No.101-200) は本文に 付録のカラー一式を付ける。
ここまでの 200部は、日本紙か アルシュ社のヴェラン紙に印刷。
大多数の 800部 (No.201-1000) は アルシュ社のヴェラン紙に印刷、
図版は本文のカラーのみで、付録は無い。
他に 50部が関係者用に作られた。アルシュ社のグラン・ヴェラン紙に印刷。
この本(私の所蔵本)の番号が、手書きで 125番とある。


『王女の庭園にて』、口絵(フロンティスピス)と、本扉(仮綴じ本の表紙と 同じデザイン)


『王女の庭園にて』 ジラルドンによる 扉の小挿絵
花と竪琴


アルベール・サマンの『王女の庭園にて』、アドルフ・ジラルドンによる口絵(フロンティスピス)
愛犬をつれた王女が、バロック庭園のロジアに佇(たたず)んでいる。