岡倉覚三(天心)の最後の著作となった "The Book of Tea"『茶の本』
版元製本の、布装の初版。19cm × 12cm × 2cm、160ページ、重さ 310グラム、金文字箔押し。大きな四角い枠取りは 1.5mm幅の直線の 色のない型押し。表紙の色合いも 布の仕上げも デザインも、高雅な印象を与えて 好ましい。本体上部には 天金がほどこされているが、花ぎれが無いのが残念。購入後 革製本した人が いたかもしれないが、実物はもちろん、古書カタログでも 見たことがない。おそらく、きちんと布製本された本は、革製本し直されるということが、めったになかったのだろう。
『茶の本』をたたえて
乾いた しわしわの茶の葉よ、いったい誰が夢見ただろう、こんな乾いた葉の中に、かくも緑なす春の潮の 歌と詩と美が保たれていたなどと。 『宝石の声なる人に』(愛の手紙)大岡信編訳、安野光雅装画、1982、平凡社
岩波文庫のジャケットには、初版本の 古いモノクロ写真が |