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岡倉覚三の二番目の英文著作 "The Awakening of Japan" 『日本の覚醒』
ジョン・マリー版の『日本の覚醒』には、かなり傷んだ 薄手のジャケットが付いていた。
『日本の覚醒』の本扉
『日本の覚醒』 の本文レイアウト
米国初版の布装本『 日本の覚醒』ニューヨーク、センチュリー社、1904年
英国初版の、版元装幀の布装本 John Murray, London ロンドン、ジョン・マリー社
今から109年前の、1905年(明治36)に出版された。(米国初版は 前年の 1904年)
20cm × 12cm × 2.3cm、225ページ、重さ 330グラム
この本にも 天金がほどこされているが、やはり 花ぎれがない。
当時は 花ぎれというのは、革製本するときに 手編みで付けるものだったらしい。
そのおかげで、本体の表紙は ヤケも汚れも少なく保たれてきた。
『東洋の理想』や『茶の本』にも ジャケットがあったらしいが、詳細不明。
背にはタイトルよりも大きく 定価が書いてある(税抜き5シリング)。
本体には定価は書いてない。ジャケットというのは、あくまでも店頭用の
価格表示用 保護カバ-であって、販売後は捨てられる前提だったのだろう。
センチュリー社の『日本の覚醒』の表紙は 濃紺色だった。(ウェブサイトより)
翌年、ジョン・マリー社は 英国初版を これと同じデザインで出版したが、布の色は変えた。
この色の布が手に入らなかったとは考えられないので、意図的に 別の色(緑色)にしたのであろう。
ただ 菊ご紋が入ったこのデザインは好評だったらしく、ジョン・マリー社は
同年の 1905年に再版した『東洋の理想』に、この意匠を採用した。
( しかし 後の版では これをやめて、無地の表紙にした ようであるが。)