堀辰雄『聖家族』江川書房版、500部限定、1932(昭和7)年
函(エチュイ)と、たとう(シュミーズ)と、引き出した本体の 背にも裏表紙にも
表紙を表にすると、ついに 文字が現れる。
江川書房版『聖家族』扉ページ。本の大きさは 16cm × 12cm、73ページ。
江川書房版 『聖家族』 本文ページ。
左は、背のほうから函を見るが、一切の文字がない、白い 小さな函である。
右は、その反対側から見て、「たとう」に挟まれた本を、少し引き出したところ。
一切の文字がない。(英語では、函は スリップ・ケース、
たとう は カードボード・フォルダー あるいは フォールディング・ペーパーケース)
フランス装の本体の クリーム色の表紙に、タイトル「聖家族」の 3文字のみ。
著者名も 出版社名もなく、ただただ、ひたすらに「白い本」である。
これぞ、「純粋造本」の極致と言える。実際には これは復刻版なので、
函と たとう の右下隅に、ごく小さく「 特選 名著復刻全集 近代文学館 」
と印刷してあるが、スキャンから消して、本来の姿にした。
印刷部数:越前局紙刷著者署名 150部、木炭紙刷 350部。
(復刻版には、No.86 の番号が入っている)
三方小口はアンカットだったが、それをカットした。(カットしなければ
読めない。)もっとも、もう一冊を カットしないで、とってある。