堀辰雄の『風立ちぬ』の終章「死のかげの谷」には、
とある。 レイモンド夫人の ノエミさんが作った 聖パウロの像がポーチにあることから「聖パウロ教会」と呼びならわされるようになった。ファサードの頂部には、木の十字架が立てられている。
たしか、大学に入る年の春休みに、長野県にスケッチ旅行に出かけ、軽井沢にも寄った。本格的に建築の勉強を始める前だったので、アントニン・レイモンドのことも まだ詳しくは知らなかったのだが、この木造の「聖パウロ聖堂」は、堀辰雄の『木の十字架』で読んでいたので、探しあてた。
芸大の建築科の主任教授だった 吉村順三先生が、若い時 レイモンドの事務所に勤めていて、この聖堂の仕事も 手伝ったようである。窓ガラスをステンドグラスにする費用がなかったので、その代わりに、白い障子紙にパターンをつけて切り抜いて 貼り、日本式のステンドグラスにしたのは 僕のアイデアだよ、と言っておられた。 ![]()
聖ポール教会の断面図 |