『青い鳥(ル・ワゾ・ブル)』の紙ジャケットの、かなり大きな折り返し。「フランス装」の表紙。
日本では縦の折り返しを上にかぶせることが多いが、フランスでは上下の折り返しをかぶせることが多い。
つい「ジャケット」と言ってしまうが、これはダスト・ジャケットではなく、表紙自体の折り返しである。
フランス語では、Couverture Rempliée(折り返し表紙)と呼んで、
ペーパーバックの裁ち落とし表紙と区別する。


パラフィン紙(あるいは グラシン紙)のカバーのかかった本の折り返し。
紙表紙の折り方と同じ手順でカバーをかけるが、わずかに糊を使っている(表紙にではなく、
パラフィン紙どうしで)。かなり面倒な手作業であるが、ジャケット的な表紙全体が
完全に保護される。ところが日本では、パラフィン紙の端部を 表紙に
貼り付けてしまっている本がよくある。これは邪道であって、パラフィン紙が
健在の間はよいが、劣化して取り除くときには、表紙に傷が残ることになる。


パラフィン紙のカバーをかけた上に、さらに 函に入れた 仮綴じ本。
まるで 上製本の扱いだが、革製本した場合には 入らなくなるので、
その時は 函は棄てられる。あくまでも 仮綴じ本を保護するためだけの函なので、
何も印刷されていない。


日本における「フランス装」の本の例(三方を折り返した、柔らかい紙表紙)。
『アナトオル・フランス長編小説全集、第14巻、ペンギンの島』
(1951年 白水社) 下の小口のみアンカットで、
他の2辺が カットしてある (フランスでは3辺アンカットが原則)