ジェイムズ・ファーガスンの『世界建築史』初版、上下巻、自家装幀の背と表紙 (1865, 1867)
今から140年ほど前の革装で、背と角は赤茶色のモロッコ革、平は 硬質ボール紙の上に特殊布装。
天金(てんきん)、他の小口はアンカットだが、かなり揃っていて、あまり凹凸が ない。
背にはバンドが5本と金線、背革(せがわ)と 角革(かどかわ)の端部にも金線、タイトルは金文字箔押し。
このように 背と角に革を張った形式を、ハーフ・レザーという (仏語では、ドゥミ・キュイール)。

ジェイムズ・ファーガスンの『世界建築史』、上下巻の見返しのマーブル紙。
立派な装幀の見返しにはマーブル紙が好まれ、表紙と色調を揃えるのが原則である。


この『世界建築史』の上下巻とも、表表紙の見返しに 当初の所有者の蔵書票(エクスリブリス)
貼ってある。文字は、ラテン語の 'AUSPICIUM MELIORIS AVI, VINCERE EST VIVERE' と、
所有者名の GENERAL, SIR HENRY ARUSUSTUS SMYTH, K.C.M.G. が記載されている。
この人が最初の所有者(購入者)で、革製本をさせたのであろう。K.C.M.G. とは
Knight Commander of (the Order of) St. Michael and St. George の省略形で、「聖マイケル・
聖ジョージ上級勲爵士」の意。 貴族の将軍、ヘンリー・オーガスタス・スミス氏 の蔵書票である。