● ル・コルビュジエの年代順作品集 ●

Le Corbusier, Oeuvre Complète
Publiée par W. Boesiger aux Editions Girsberger, Zurich
8 volumes, 23 x 28 cm, 175-240 pp.

ル・コルビュジエがいくつもの重要な国際コンペで入賞したり、その建築・都市計画理論が出版されるにつれて、彼の作品全体を詳しく知りたいという需要が大きくなり、1929年、彼が 42歳の時に、協働者のピエール・ジャンヌレとの 20年におよぶ活動を詳しく記録した作品集が、まだ若かった W・ボージガーの編集で出版された。これが、近代建築を求める 世界の建築家や学生に強く支持されたので、その続編が4年から8年おきに出版されていった。第4巻の途中までが ピエール・ジャンヌレとの連名作品集で、以後はル・コルビュジエの単独作品集であり、最終の第8巻は 1965年に世を去った後の遺作集である。各巻とも OEUVRE COMPLÈTE(全集)と書いてあるが、通常 全集というのは、もう新しい作品が作られなくなった「没後」に編集されたものをさすので、それぞれの期間の「全仕事」とでも訳したほうが 良いかもしれない。このサイトでは「年代順作品集」と呼ぶことにする。ル・コルビュジエの活動を調べる時には、何よりもこの「年代順作品集」が基礎となる。 チャンディーガル計画については、第5巻から第8巻に、年代順に詳しく報告されている。


ル・コルビュジエ作品集 第5巻 1946-52
チャンディーガル計画が 初めて、最も詳しく載せられた。


ル・コルビュジエ作品集 第6巻 1952-57
チャンディーガル計画報告第2回を含む


ル・コルビュジエ作品集 第7巻 1957-65
1965年に世を去るまでの、最終の作品集
チャンディーガル計画報告第3回を含む


ル・コルビュジエ作品集 第8巻 遺作集(1970)
チャンディーガル計画紹介 最終回を含む


この横長の作品集を開くと、23cm × 56cm という、幅が高さの 2.4倍にもなり、本としては たいへん扱いにくい。これは おそらく、1926年にル・コルビュジエが考えた「近代建築の5原則」(新しい建築の5つの要点)の中の第4番、鉄筋コンクリートの発展によって可能となった「横長窓」(サヴワ邸に典型的に見られる)を書物に適用したのだろう。人間の目は2つが横に並んでいるので、縦長窓よりも横長窓がふさわしく、見やすいのだ という考えである。これに倣って、マルセル・ブロイヤーや リチャード・ノイトラをはじめ、多くの近代建築家が この判型で作品集を出版した。